誰も得しない日本史

誰も得しません

「現代ビジネス」ボツ記事集

本日、講談社の「現代ビジネス」に「英語版『鬼滅の刃』でわかった、「鬼殺隊士の遺書」に秘められた真の意味」という記事を掲載していただきました。

その際に載せられなかった、鬼滅の刃の誤訳などを紹介いたします。

gendai.ismedia.jp

 

①善逸の自己認識・蜜璃の自己認識


甘露寺蜜璃は、無限城で自分のことを「私馬鹿じゃないわ」と断じました(21巻・英語版未発売)。

それに対して、蝶屋敷でリハビリしているときに、炭治郎からカナヲと自分たちとの差の理由を聞かれた善逸は、

” If you think I know, you’re dumber than me.”

( 俺に聞いて何か答えが出ると思っているなら お前は愚かだぜ)と答えました(6巻)。

"dumb"(まぬけ)ではなく、比較級の"dumber"になっているのがポイントです。

自分のことが分かっていない蜜璃と違い、善逸は自分が弱いことだけでなく、バカだということも自覚しているようです。

 


甘露寺蜜璃と我妻善逸 鬼滅の刃で英語の勉強01

 

②アイツは誰だ?

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無限城に入ったとき、我妻善逸は言いました(16巻)。

I heard something. Muzan may be close.
音が聞こえた… アイツが近くにいるかもしれない

I’ll never forgive him! Never!
許さない…アイツを… 絶対に許さない

ここで、「アイツ」は”Muzan”と訳されていますが、善逸は無限城に入る前の柱稽古のときに、兄弟子の獪岳が鬼になったために師匠が切腹したという手紙を見て、獪岳を倒すという自分のやるべきことを確信しました。さらに、善逸はこの段階でまだ無惨に会っていないので、無惨の音を知りません。後の展開をふまえても、ここでの「アイツ」は獪岳でしかありえないでしょう。


英語版「鬼滅の刃」(DEMON SLAYER)の誤訳!? 鬼滅の刃で英語の勉強02

 

③技名の英訳


鬼滅の刃」の英語版では、技の名前は基本的に直訳です。
栗花落カナヲの大技、「花の呼吸 終ノ型 彼岸朱眼」(19巻)の英訳は、

”FLOWER BREATHING FINAL FORM: EQUINOCTIAL VERMILION EYE”です。

“equinoctial”は聞き慣れないかもしれませんが、春分秋分の、昼夜平分時の、という意味です。いわゆるお彼岸の時期と、昼夜の長さが等しい秋分はだいたい重なるから、訳者は“equinoctial”を使ったと思われます。
しかし、これはおそらく誤訳です。カナヲの技にある「彼岸」は、昼夜の長さが等しい時期としてのお彼岸ではなく、「彼岸」本来の意味である「あの世」という意味のはずです。

「あの世までも見通せる(もしくは、あの世の力の)朱い眼」という技名なのです。「お彼岸の時期の朱い眼」では、ちょっとおかしいですよね。

 


英語版「鬼滅の刃」(DEMON SLAYER)の誤訳!?その2 鬼滅の刃で英語の勉強03

 

英語で読んで初めて分かることもあり、さまざまな苦労や工夫を重ねる訳者の凄さも感じました。英語で読めば、一度読んだ「鬼滅の刃」も、もう一回新鮮な気持ちで楽しむことができるのではないでしょうか。

 

 

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